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171110読んだ本&買った本&Мアラート

歴史小説と時代小説が異なること、歴史についての「当たり前のこと」も知らぬとはヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

【読んだ本】

瀬川貴次『ばけもの好む中将 平安不思議めぐり』(集英社文庫,2013)

ホラーは苦手で、ブログ「Rongo-Rongo」で訊ねたら、そうではないらしく、読んでみると面白くて、
リュカ様の御教示には感謝ですm(__)m 本書は「仁寿殿の怪」「角三つ生いたる鬼女」「葵祭の夜」
「鵲の橋」の4篇で構成されてる(^^) 怪異は愛でるものとして、物の怪が出たとの噂を耳にすると、
その場所に出向かずにはいられぬ左近衛中将宣能は「ばけもの好む中将」と言われてて、知り合った
ばかりの右兵衛佐宗孝が嫌がるのも構わず現場へと連れ立って行く・・・というのが物語の骨格^_^;
いわば名探偵と助手のパターンでミステリー的性格が強く、ストーリーの随所に伏線が張られてて、
ソレを見事に回収するんだから、作家として力量は大したもの(^^) ギャグに笑ったら、後でソレが
伏線だったとかね(゚o゚;) 登場人物の設定も魅力的で、中でも異母姉が12人いる姉弟の末っ子である
宗孝のちょいダメっぷりが好い(^_^;) 十一の姉上こと小宰相(8番目の姉=梨壺の更衣のところで
女房仕えしてる)が好みだけど、続刊で全ての姉が登場するといいなぁ^_^; 上記のタイトルからも
解るように、古典作品をコンテクストとしてるところもあり、「ばけもの好む中将」という綽名も
堤中納言物語と伊勢物語を意識させるように、とりわけ伊勢物語の話が随所に取り入れられていて、
小生も知ってる話に関して言えば、巧~く下敷きにしてる感じだった(^^) 未読の話もあったので、
伊勢物語を読んでれば、もっと面白く感じられたのかも(..) 逆の評価となった可能性もあるが^_^;
というわけで、正味1日ちょっとで読了できたよ(^^) さて、本題に入るが、本書の巻末「解説」を
大矢博子なる人物が担当していて、その書き出しの「歴史時代小説は大好きだが、・・・」云々の
「歴史時代小説」とは何なのかしら(@_@) 例えば、大村彦次郎『時代小説盛衰史(下)』(ちくま
文庫,2012)も「あとがき」で「歴史小説と時代小説は本質的に異なる。」と断言し、また尾崎秀樹
『海音寺潮五郎・人と文学』(朝日新聞社,1978)も「時代小説も歴史小説も、ともに歴史的な素材を
あつかっている点では共通しているが、歴史への対応のしかたが本質的にちがうのだ。そのいちばん
大きな相違点は、時代小説が歴史上の人物や事件、風俗を衣装として借りるのに反して、歴史文学
[ママ]は歴史的な人物や事件、風俗そのもののなかに真をみようとする。そのために前者では話の
筋書のおもしろさや、エキセントリックな内容に重きをおき、後者では歴史認識のありかたが中軸に
すえられる。」と解説してるように、本質的に異なる両者を一緒くたにするかね(@_@;) ま、チト
揚げ足取りみたいな感じもするし、気を取り直して先へと読み進めると、不安的中 C= (-。- ) フゥー
「それではただ単に平安時代を道具立てに使っただけの現代小説[ママ]なのか? 否である。」
だとぉ(゚ロ゚;)エェッ!? 本作品は「平安時代を道具立てに使った」時代小説以外の何物でもないぞ(^_^;)
まさか歴史小説だとでもw(゚o゚)w 本作品の登場人物は全て架空の人物だし、その上、瀬川貴次自身が
「あとがき」で「この作品では、特に平安のいつとは限定せず、・・・」と告白してて、平安時代の
歴史を厳密に描こうとはしてないことなどから、歴史小説とは言えないことは明白(^^) もしかして、
大矢博子は平安時代は金太郎飴の如く何処を切っても同じ様相を示すという歴史認識か(゚ロ゚;)マジ!?
しかも、大矢博子は「ただ単に・・・道具立てに使っただけの」などと時代小説を蔑視しているが、
歴史小説と時代小説との間には価値序列は無くジャンルが違うだけ(-"-) 本作品は、時代小説として
面白かった、と小生は高く評価しているよ(^^) 呆れつつ「解説」を読み進めて行くと、〈耳慣れぬ
役職名や官位、どういうものか想像できない生活の小道具や習慣、恋人には歌を贈り、災いは怨霊の
せい、何から何まで現代とは違う時代の、けれどそこに生きて泣いたり笑ったり妬んだり悩んだり
愛したりしていたのは、私たちと何ら変わらぬ人々だということが、「虫めづる姫君」ならぬ「ばけ
もの好む中将」らによって浮き彫りにされていく。/本書を読めば、平安時代の雰囲気はそのままに、
現代と地続きなのがすんなり心に落ちる、と言ったのはそういうわけなのである。〉とあったから、
全てが氷解した(「心に落ちる」とは??? 明治時代に「腑に落ちる」はあったけどね)( ̄□ ̄;)
先ず、時代小説と捉える限り、本作品が現代人の心性で平安人の心性を描いている点は問題ない(^^)
杉本苑子の歴史小説で登場人物が現代人の心性を持つ点に違和感があると批判したことあるけど^_^;
大矢博子の言う〈平安時代は現代と地続き〉云々が、(例えば、秋を物悲しく感じる現代人の心性が、
「万葉びと」には無くて、平安朝=後期王朝の「王朝びと」から、連綿と受け継がれてきたように
[西村亨『王朝びとの四季』講談社学術文庫])もしも〈平安人の心性 → 現代人の心性〉という
意味なら、理解できなくもない(^^) だが、そうではなく、上記の件で大矢博子は、本作品を読めば、
〈平安人の心性 = 現代人の心性〉であるのが解る、と言うのだから吃驚仰天だ∑( ̄ロ ̄|||)ナント!?
土田直鎮『日本の歴史5 王朝の貴族』(中公文庫,2004改版)巻末に今を時めく倉本一宏(日に何件
も別ブログにアクセスあり!)が書いた「解説」から引く(^^) 〈一九八〇年四月、東京大学文学部
国史学研究室の進学生歓迎会の三次会(参加学生は私を含め三名、場所は西新宿の某所)において、
土田先生はやおら居住まいを正され、「これから遺言を話す。俺が死んだら紙に書いて国史の研究室
に貼っておけ」とおっしゃり、我々二人に対して、次のような「遺言」を述べられた(一人はすでに
それを聞けるような状態ではなかった)。/ 一、現代人の心で古代のことを考えてはいけない。/
 二、古代のことは、古代の人の心にかえって考えなくてはならない。/ 三、俺は長い間、そう
しようと思ってやってきたが、結局駄目だった。/お前らにできるわけがない。ざまぁみろ。/この
内容について、私などが云々できるものではない。しかしながら、古代のことを古代の人の心で考える
という、いわば当たり前のことを、「透徹した史眼を鍛え、犀利な考察を行った」(『日本歴史』
五三九号掲載の笹山晴生氏による「訃報」)土田先生が口に出されるとき、その含む意味の深さは
いかばかりであろう。〉と、長文を最後までお読みの方へのサービスとして写したけど、深いね(^^)
こんな「当たり前のこと」すら分からぬ「書評家」が活躍してるんだから、チョロい世の中(´・_・`)

【買った本】

角田喜久雄『影丸極道帖』上(春陽文庫,1989新装)

「歴史上の人物や事件、風俗を衣装として借り」て「話の筋書のおもしろさや、エキセントリックな
内容に重きをお」いた、ザ・時代小説な本書(^^) やっと100円値下がりしたから、1000円「良い」を
ギフト券を使って、496円で(^^) この「銀座良品市場 安心の60日間保証 大量発注対応 請求書払い
(アマゾンビジネス登録済の法人様)OK!!」という出品者は、評価は高いけど、コンディション欄が
真っ白で、また初版が送られてくるんじゃないかと不安だったから、良かった^_^; 難点はヤケ^_^;

【Мアラート】

今夜、別ブログ「また、つまらぬ物を読んでしまったorz」を更新しますが、無視してプリーズ(^^)
一定期間更新しないと広告が表示されてしまうので、緊急避難的にリンクを追記するだけだから^_^;

んなわけで昼に更新m(__)m これだけしてもアクセスあったら当ブログを御覧になってないことに(゚o゚;)
タグ:音楽 小説 歴史
コメント(12) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 12

センニン

こんばんは。
音楽においても似たような状況があります。
バッハやモーツァルトやベートーヴェンの時代は楽器もオーケストラの規模も今とはまるで違います。
当時の楽器(ピリオド楽器、古楽器とも言います)を使って当時の規模で演奏しようという考えも一定の評価を得ています。
しかし問題はそのようにしても今この時代に生きている我々が受ける印象は当時の人々が受けたであろう印象とはどうしても同じではないということです。
by センニン (2017-11-10 20:25) 

werewolf

最近昔に比べて本を読まなくなってしまいました。
電子書籍端末なら軽いから、いつでも持ち運べて便利かと思いましたが、古い人間は『本はやっぱり紙だよなぁ』なんて思ったりもします(^_^;)

by werewolf (2017-11-10 20:59) 

middrinn

センニン様、いつも御教示ありがとうございますm(__)m 興味深く勉強になります(^^)
そこまでしても当時の聴衆が受けた印象を現代人は知り得ないということですね(゚o゚;)
センニン様にインスパイアされ、大昔に読んだ本を本棚から探し出しました(^_^;)
渡辺裕『聴衆の誕生~ポスト・モダン時代の音楽文化』(春秋社,1989)によると、
18世紀の演奏会の聴衆は、演奏される音楽に対し一心に耳を傾けて鑑賞するのではなく、
おしゃべりをしたり騒いだりするのが当たり前だったとかで、モーツァルトも、
そういった聴衆の態度を前提にして自作の演奏会のプログラムを構成したり
(メインの交響曲が最初と最後に真っ二つに分断されてたのにはびっくり!)、
作曲も聴衆のさまざまな聴取態度まで考慮に入れて取り組んでたとか(゚o゚;)
センニン様のコメントを拝読し、「お前らにできるわけがない。ざまぁみろ。」という
土田直鎮の「遺言」がヨリ重く感じられてきました^_^;
by middrinn (2017-11-10 21:08) 

middrinn

werewolf様の「Happyをみつけよう♪」は、拝読させて頂くと
読み手もちょっとハッピーな気分になれるのから好きです(^^)
電子書籍の検索機能とか便利さも理解できるんですが、
やはり小生は紙の本じゃないとダメですね^_^;
by middrinn (2017-11-10 21:19) 

センニン

再びのコメント失礼します。
映画『アマデウス』でもその一端は垣間見えるのですが、例えばモーツァルトを迎えるために行進曲を作曲するように何かの目的のために作曲することが求められるのが普通でした。
オケージョナル・ミュージックという言い方がありますが、使い捨てのものでもありました。
演奏会は自分の曲を披露するものでした。

モーツァルトの時代は宮廷などに使えて要求に応じて書くのが仕事でした。映画でもオペラを一曲と言われてドイツ語で『後宮からの誘拐』を作曲する場面があります。
バッハは教会が主ですが、世俗的なカンターターも数多くあります。

映画でフランス革命を予感させる会話(『フィガロの結婚』を問題にされる場面。皇帝に「妹(マリー・アントワネット)が不安がっている」という意味のセリフ)がありますが、貴族社会が崩壊することによって音楽は民衆のものになって行きます。
by センニン (2017-11-11 08:41) 

middrinn

センニン様のお蔭で駄文記事のコメント欄が読み応えあるものになりましたm(__)m
御説明を拝読すると、素人考えですけど、当時の作品の中には、
近代の芸術作品というフレームで理解することが見当違いな作品もあるかも、
という気が^_^; 芸術作品としてみると駄作でも、その目的に照らすと傑作とか^_^;
センニン様のような音楽にお詳しい方だと、映画『アマデウス』も、そのディテールから
色々な意味を読み取ることが出来、深く愉しめて羨ましいです(^^)
プログラムを改めて見たら舞台版や毒殺説の話ばかり^_^;
by middrinn (2017-11-11 09:21) 

hanamura

『ばけもの好む中将』・・・「虫めづる姫ぎみ」??? 私は中・高校生いわゆる思春期に、今昔物語、御伽草子、などなど古典のエログロ描写に、刺激されて読書好きになりました。「とりかへばや物語」が、源氏より好きです。・・・それは読書???
ちなみに、三国志は歴史モノ(?)、三国志演義は時代モノ(?)というような俗説を信じていました。もう、どうでもイイかなぁ。(あはは笑)
by hanamura (2017-11-11 15:35) 

middrinn

hanamura様は面白すぎるのに真面目で人が好いですね(^_^;)
内輪話はさておき、読書好きとして、いい御趣味じゃないですかね(^^)
桑原博史(全訳注)『とりかへばや物語』(講談社学術文庫,1978-79)全四巻を
学生時代に買い揃えたまま、未読なことを思い出しました^_^;
大道芸のことも興味深かったですし、次回の更新を愉しみにしてます(^^)
by middrinn (2017-11-11 15:50) 

センニン

時代劇と史劇は違いますものね。

ちょっとくどいですが先のコメントに補足しますと、先日読んだ本によれば「芸術」という言葉が使われ始めるのはベートーヴェン以降だそうです。
ベートーヴェンの時代にはまたピアノが急速に進歩し、彼のピアノ作品を辿ると音域の広がりにそれが反映されているそうです。

『アマデウス』は舞台と映画ではずいぶん違いますが、映画の脚本は作者自身が手がけています。
モーツァルトの死因についてはサリエリが殺した(プーシキンの戯曲による)と信じている人はいないでしょうが、記録された症状などから可能な限り医学的に解明しようとする試みはいくつもなされていて、その一つについて以前取り上げました。

by センニン (2017-11-11 19:51) 

middrinn

センニン様の大変興味深い御解説、何度でも大歓迎であります(^^)
折角なので、この記事のタグに「音楽」を追加させて頂きました^_^;
演奏する楽器あっての音楽ですから、楽器の発展・歴史も要注目なわけですね(^^)
渡辺裕・前掲書の受け売りですけど、「芸術音楽」/「娯楽音楽」の2分法の成立は
19世紀ということですから、やはり「ベートーヴェン以降」となりますかね(^_^;)
著名人の死因についての医学的研究の盛行は結構ですが、一方で何か淋しい気も(..)
なお、時代小説とは、ぶっちゃけ、(映画・TV等の)時代劇の小説版かと^_^;
by middrinn (2017-11-11 20:33) 

こじろう

ばけもの好む中将は気になってる本の一つなんだな。
ただ,middrinnさんと同じくホラーがイマイチで・・・(;´・ω・)

たまったポイントで後でポチっとしておこうっと。
by こじろう (2017-11-12 19:39) 

middrinn

〈ぼくと「かえる」日記2〉の更新、待ってました(^^)
寂光山常照寺は「161024読んだ本&買った本」の
杉本苑子『女人古寺巡礼』(講談社文庫,1996)で取り上げましたが、
こじろう様が白文字で記された「紹益のエピソード」は同書には
出てなかったですし、へぇ~でした(゚o゚;) ちょっとホラーですね^_^;

by middrinn (2017-11-12 20:12) 

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