So-net無料ブログ作成

171103読んだ本&買った本

パリのマルモッタン美術館を翌年また訪れると、モネの「すいれん」が依然として逆さに展示されて
いるので、その旨をメモ書きした名刺を役員に渡しておいたところ、ル・モンド紙に報じられた逸話、
西澤潤一『独創は闘いにあり』(プレジデント社,1986)で大昔に読んだことを思い出したよ(^_^;)

【読んだ本】

片桐洋一(校注)『新 日本古典文学大系 6 後撰和歌集』(岩波書店,1990)

下鴨神社(賀茂御祖神社)の御手洗川の「君がため御手洗川を若水にむすぶや千代の初めなるらむ/
(後撰和歌集)・・・」と書かれている立札の写真を載せるとともに「・・・後撰和歌集(千載集?)
に御手洗川を詠んだ歌がある。・・・」と、さり気な~く注意を喚起してる、こじろう様のブログ
〈ぼくと「かえる」日記2〉(先月29日記事)は、きちんと調べた上で執筆されてて、流石だね(^^)
だってさ、同立札の説明文を真に受けて、「君がため御手洗川を若水にむすぶや千代の初めなるらむ
(後撰和歌集)」と垂れ流してるブログが結構あり、中には、同歌を式子内親王の作としている強者
までいるからね(゚ロ゚;)エェッ!? こじろう様のような慎み深さがない小生ははっきり書くけど、この歌は
源俊頼の作で千載和歌集の賀歌に入ってる歌(歌番号610)(^^) 片野達郎&松野陽一(校注)『新
日本古典文学大系10 千載和歌集』(岩波書店,1993)は、〈君のために、御手洗川の水を「若水」に
掬[すく]って献じますのが、御治世千年の初めとなるのでしょうか。〉と訳し、「堀川[ママ]院
御時、立春の朝に、今日の心つかうまつるべきよし侍ければ奏し侍ける」と詞書にある以上、この
「君」とは堀河天皇を指してて、堀河天皇の「治世」の長久を願って詠んだ賀歌であるのは明白(^^)
後撰和歌集は村上天皇の命で編まれた2番目の勅撰和歌集で、源俊頼(1055~1129)は白河院の命に
よる5番目の勅撰和歌集・金葉和歌集の撰者ね(^^) 同書には(巻末付録の「他出文献一覧」も含め)
この歌が後撰和歌集にも入ってたとは記されてなく、久保田淳(校注)『千載和歌集』(岩波文庫,
1986)も同様だったが、念のため本書を確認してみると、巻末の「初句索引」を見る限り、この歌は
やはり後撰和歌集には入ってない(^^) 本書巻末の「歌枕・地名索引」にも「御手洗川」は無い(^^)
ちなみに、本書の「解説」で片桐洋一は「奥村[恒哉]氏の説に従えば、天暦五年[951年]に撰集
を開始して、完成は早くても四年後の天暦九年、遅ければ七年後の天徳二年(九五八)ということに
なる。常識的に言って、あまりにも長すぎるという印象は免れないのであるが、山口[博]氏説に
従えば、天暦七年十月、つまり『後撰集』の撰集を開始して二年の後には、一応の決着がついたこと
になる。」とあり、どちらの説にしても、後撰和歌集の完成は源俊頼が生まれる前^_^; んなわけで、
下鴨神社の御手洗川の立札の「君がため御手洗川を若水にむすぶや千代の初めなるらむ/(後撰和歌
集)・・・」という説明文は間違ってるわけだが、誤りはそれだけではなさそうだ(@_@) 前掲『千載
和歌集』の脚注は「みたらし河」を「上賀茂神社の境内を流れる川」として(前掲岩波文庫も同様)、
同書巻末の「地名索引」にも「本来は神社の傍を流れ身を清める川の普通名詞だが、京都市北区の
上賀茂神社の御手洗川をさす。」由(片桐洋一『歌枕 歌ことば辞典 増訂版』[笠間書院,1999]の
「みたらしがは【御手洗川】」も同旨)、つまり、この歌は上賀茂神社の御手洗川を詠んだ歌であり、
下鴨神社の御手洗川とは関係ないと思われるわけ(^。^;) 普通名詞だから問題はないと強弁するなら、
全国の「神社の傍を流れ身を清める川」の滸に、この立札があっても構わないことになっちゃう^_^;
さて、例によって、注釈書にもない独自の珍解釈を振り翳して何でも恋歌にしてしまうバカ発見^_^;
ヤフー知恵袋で歌の意味を聞かれ、「若水とは、元日の早朝に井戸から水を汲んで神棚に供えること
です。また、その汲んだ水のこと。」とか、「源俊頼は元旦か立春若水を井戸でなく神様の川である
みたらし川から汲んできたのでしょう。その水を神棚にお供えしてからご馳走作りやお茶に使ったの
でしょう。/若水で顔を洗い若返って彼女と一体になったのでしょうか。」と珍回答連発(゚ロ゚;)マジ!?
先ず「若水」だが、前掲『千載和歌集』の脚注は「立春の早朝、主水司[もいとりのつかさ]が天皇
に奉献する水(江家次第)」とし、前掲岩波文庫にも同様の説明がなされてる(^^) この回答子のは
小生愛用の『大辞林』(1988年の第一刷)に類似の説明があるけど、その末尾にも「古くは、宮中で
立春の早朝に主水司[しゆすいし]が天皇に奉った水のこと」と、ちゃんと書いてあるんだけど^_^;
また回答子はエロい意味に解してるようだけど、この歌の「むすぶ」は前掲『千載和歌集』の脚注に
〈「掬う」意に、永寿を保障する神聖性との「結契」の「結ぶ」を含意するか。〉とあるのだが^_^;
専門家による注釈書を繙かなくても、勅撰集のどこに入っているか、また詞書ぐらい確認しろよ(-"-)

【買った本】

杉本苑子『穢土荘厳』下(文春文庫,1989)

297円の「良い」をポイント使って205円で(^^) 先週までは1500円近かったから、会心の買い物(^^)
最初の出品者が法外な値を付けると横並び社会ゆえ右に倣えするからね(+_+) でも、横並び社会ゆえ
一斉に下がり、その恩恵を被ったわけだけどさ^_^; 漢字の読み方のテストに出そうな書名だな^_^;

間違いに気付かず引用してる例は本のブログでも結構あるよね^_^; 小生も気を付けなきゃ(^_^;)
タグ:和歌
コメント(3) 
共通テーマ:趣味・カルチャー